仲良し夫婦の別れ

昔、私はゴスペルサークルに入っていました、若い人から70歳近くまで年齢は様々です、その中でも最高齢だった女性は、本当に歌うのが好きのようでした。

ゴスペルでしたから、歌詞はすべて英語でしたし、無表情で歌うのはいただけません、発表会では一番前で、一番楽しそうに歌い、手振り身振りもあって、来てくれたお客さんをいつも元気にさせていました。

彼女はご主人を失くし、悲しみの中、娘さんとの同居のため引っ越しをしました、悲しみから立ち直るのに2年かかったようです。

現在はゴスペルから、なんとジャズに代わりました、そして、今のお歳は73歳です、カラオケではスタンダードジャズをしっとりと歌います、歌う姿は寂しさを感じません。

彼女のモットーは「誘われたら、基本的に断らない」というものです、勿論、金貸してくれ!とかの類のものではありませんよ、友人たちとのパーティ、個展、映画、絵画鑑賞、飲み会、その類のものです。

彼女は幼友達とずっと付き合って結婚しました、同郷の者同士であり、二人とも同じ国立大学で学び、お互いを尊敬していました、ちょっと小耳に挟んだ彼女の告白には、「本当は好きな人は他にいた」とも。

ともあれ、仲良し夫婦で経済力も有り、何ともうらやましい幸せなご夫婦でしたが、ある日、突然、旦那様が亡くなったのです、あまりにも突然だったので、彼女の悲しみは痛いほどに感じました。

老後の生き方上手

毎日、泣いて暮らしていたようですが、元来、積極的で前向きな性格でしたから、寂しさを埋めるのは上手でした、元のような幸せは戻りませんが、生き方次第で違う幸せは得られます。

彼女は自宅に人を呼んでパーティをするのが好きでした、しかも大人数で、それは旦那様が生きている頃からです、お酒が好きな彼女の家にはいろんな種類のお酒があり、酒好きには嬉しいパーティです。

今でも、1日に一つは用事を作ると言っており、積極的に動いています、寂しさを紛らわせるためでしょうか、子供たちを安心させるためでしょうか、毎日、忙しそうです。

泣いて暮らすより、寂しく思って暮らすより、考え方ひとつ変えるだけで違う暮らしになります、彼女は生き方上手ですね。

人は人、自分は自分というスタンスで生きているので、他人を批判したり、妬んだりせず、付き合っていて楽な気持ちになるし、何より、何に対しても、年だからとか言い訳もせず、一生懸命に取り組む姿は尊敬できるし、好感持てますね。